1. はじめに
ヨーロッパ旅行を計画している日本人の皆さん、新しい渡航システムについてご存知でしょうか?近い将来、ヨーロッパ旅行の準備には、パスポートとチケットの手配だけでなく、新たなステップが加わります。それが「ETIAS(欧州渡航情報認証システム)」と「EES(入出国システム)」です。
本記事では、これらの新システムについて詳しく解説し、日本人旅行者への影響や対応方法を説明します。ETIASとEESの導入により、ヨーロッパ旅行の準備がどのように変わるのか、誰が対象となるのか、そして申請方法や注意点などを徹底的に解説していきます。
2. ETIASとは?
ETIAS(European Travel Information and Authorization System)は、欧州渡航情報認証システムの略称です。このシステムは、シェンゲン協定加盟国に短期滞在(90日以内)する際に必要となる新しい電子渡航認証です。
2.1 ETIASの目的
ETIASの主な目的は以下の通りです:
- 欧州の安全性向上
- 不法移民の防止
- 公衆衛生リスクの軽減
- 国境管理の効率化
2.2 ETIASの対象国
ETIASは、シェンゲン協定加盟国に入国する際に必要となります。対象となる国は以下の通りです:
オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ共和国、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス
2.3 ETIASの開始時期
ETIASの運用開始は2025年の初めを予定していますが、正確な日付はまだ発表されていません。
3. 日本人とETIAS – 誰が対象となるのか?
ETIASは、現在ビザなしでシェンゲン圏に入国できる国の国民を対象としています。日本はこのカテゴリーに含まれるため、日本人旅行者もETIASの取得が必要となります。
3.1 ETIASの対象となる日本人
以下の条件に当てはまる日本人がETIASの申請対象となります:
- 観光、ビジネス、医療、または短期の学習目的でシェンゲン圏に渡航する人
- 90日以内の短期滞在を予定している人
- 18歳以上70歳未満の成人(18歳未満と70歳以上は無料)
3.2 ETIASが不要な場合
以下の場合は、ETIASの取得が不要です:
- すでに有効なシェンゲンビザを持っている場合
- シェンゲン圏の永住権を持っている場合
- 90日を超える長期滞在を予定している場合(この場合は別途ビザが必要)
4. ETIASの申請方法
ETIASの申請は、オンラインで行います。以下に、申請の流れを説明します。
4.1 申請に必要な書類
ETIASの申請には、以下の書類が必要です:
- 有効なパスポート(ETIASの有効期限まで使用可能なもの)
- 電子メールアドレス
- クレジットカードまたはデビットカード(申請料の支払いに使用)
4.2 申請手順
- 公式のETIASウェブサイトにアクセス
- オンライン申請フォームに必要事項を入力
- パスポート情報や個人情報を提供
- 健康や安全に関する質問に回答
- 申請料(7ユーロ)を支払い
- 申請内容を確認し、送信
4.3 申請の処理時間と結果
通常、ETIASの申請は数分で処理されます。ほとんどの場合、即時に承認されますが、追加の確認が必要な場合は最大30日かかる可能性があります。
申請結果は登録したメールアドレスに送信されます。承認された場合は、ETIASの認証番号が発行されます。
5. ETIASの有効期間と使用方法
5.1 有効期間
ETIASの有効期間は申請が承認された日から3年間、または旅券の有効期限が切れるまでのいずれか早い方です。
5.2 使用方法
ETIASは電子的に旅券に紐づけられるため、別途書類を携帯する必要はありません。ただし、念のため承認メールを印刷して持参することをおすすめします。
5.3 入国時の手続き
シェンゲン圏に入国する際、国境管理官がETIASの有効性を電子的に確認します。旅券と一緒にETIASの承認を提示するだけで入国手続きが完了します。
6. EES(入出国システム)について
ETIASと並行して導入されるEES(Entry/Exit System)についても説明します。
6.1 EESとは
EESは、シェンゲン圏の外部国境を越える全ての第三国国民(EU市民以外)の入出国記録を電子的に管理するシステムです。
6.2 EESの目的
EESの主な目的は以下の通りです:
- 国境管理の近代化と効率化
- 不法滞在者の特定と防止
- セキュリティの強化
6.3 EESの開始時期
EESは2024年秋頃から運用開始予定です。
6.4 日本人旅行者への影響
EESの導入により、日本人を含む全ての第三国国民は以下の変更を経験することになります:
- 入国時に指紋と顔写真の提供が必要
- パスポートのスタンプが廃止され、電子記録に置き換わる
- 初回の入国時には登録に時間がかかる可能性がある
- ETIASとEESの違い
ETIASとEESは別々のシステムですが、相互に連携しています。主な違いは以下の通りです:
- ETIASは渡航前の認証、EESは入出国時の記録
- ETIASは特定の国の国民のみ対象、EESは全ての第三国国民が対象
- ETIASは申請が必要、EESは自動的に適用される
- 日本人旅行者への影響と準備
ETIASとEESの導入により、日本人のヨーロッパ旅行には以下の変化が予想されます:
- 渡航前の準備に追加のステップ(ETIAS申請)が必要
- 入国時の手続きが変更(EESによる生体認証)
- 滞在可能期間の厳格な管理
これらの変更に備えて、以下の準備をおすすめします:
- 渡航の少なくとも72時間前にETIASを申請
- パスポートの有効期限を確認(少なくとも6ヶ月以上の残存期間が必要)
- 入国時の新しい手続きに備え、余裕を持ったスケジュールを立てる
- よくある質問(FAQ)
Q1: ETIASは日本のESTAと同じですか?
A1: はい、アメリカのESTAと似たシステムですが、対象国や具体的な要件は異なります。
Q2: ETIASが承認されれば、必ずシェンゲン圏に入国できますか?
A2: いいえ、ETIASはあくまで入国の事前認証であり、最終的な入国許可は国境管理官が判断します。
Q3: ETIASの申請が拒否された場合はどうなりますか?
A3: 拒否理由が通知されます。問題を解決した後、再申請することができます。また、必要に応じて通常のビザを申請することも可能です。
Q4: EESの生体認証情報は保存されますか?
A4: はい、EESで収集された生体認証情報は、セキュリティが確保されたデータベースに保存されます。
Q5: ETIASとEESは全てのEU加盟国で必要ですか?
A5: いいえ、シェンゲン協定加盟国のみが対象です。例えば、イギリスやアイルランドでは必要ありません。
まとめ
ETIASとEESの導入は、ヨーロッパ旅行を計画する日本人にとって重要な変更点です。これらのシステムは欧州の安全性を高め、入国管理を効率化することを目的としています。
日本人旅行者は、ETIASの申請を忘れずに行い、EESによる新しい入国手続きに備える必要があります。これらの準備を適切に行うことで、スムーズで楽しいヨーロッパ旅行を実現できるでしょう。
渡航前には最新の情報を確認し、十分な準備を整えることをおすすめします。ETIASとEESの導入により、初めは少し手間が増えるかもしれませんが、長期的には旅行者の安全性と利便性の向上につながることが期待されています。
新しいシステムに慣れるまでは時間がかかるかもしれませんが、美しい景色、豊かな文化、美味しい料理など、ヨーロッパ旅行の魅力は変わりません。適切な準備を行い、素晴らしいヨーロッパの旅をお楽しみください。
11. 追加情報とリソース
11.1 最新情報の入手先
- 欧州委員会公式ウェブサイト
- ETIASとEESに関する最新のアップデートや変更点を確認できる
- https://ec.europa.eu/home-affairs/policies/schengen-borders-and-visa/smart-borders_en
- 日本国外務省ウェブサイト
- 日本人向けの渡航情報や注意事項を提供
- https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/
- 各国大使館・領事館のウェブサイト
- 訪問予定国の具体的な入国要件や手続きを確認できる
11.2 ETIASに関する公式情報源
- ETIAS公式ウェブサイト(開設後)
- 申請手順や必要書類などの詳細情報を提供予定
- 申請フォームへのアクセスポイントとなる
- 欧州国境沿岸警備機関(Frontex)ウェブサイト
- ETIASの運用に関する技術的な情報を提供
- https://frontex.europa.eu/
11.3 EESに関する公式情報源
- eu-LISA(欧州大規模ITシステム運用管理庁)ウェブサイト
- EESの技術的な側面や実装状況に関する情報を提供
- https://www.eulisa.europa.eu/
11.4 旅行者向け情報リソース
- 欧州観光委員会(ETC)ウェブサイト
- ヨーロッパ旅行に関する一般的な情報や最新のトレンドを提供
- https://etc-corporate.org/
- 各国の観光局ウェブサイト
- 国別の詳細な旅行情報や入国要件を確認できる
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